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脳に効く 「散歩」〜涼しい時間を選びましょう〜

院長 豊山弘之  2024年7月

運動しなくては‥と思っても行動に移せないという方も多いのではないでしょうか。ジムに通うような特別なものではなく最も身近な運動習慣がお散歩なのかもしれません。

私自身も定期的に気分転換や体力維持のために決まった散歩コースを楽しんでいます。「散歩は脳に良い効果がある」と多くの研究で示されています。今回は[脳に効く散歩]というテーマでまとめてみました。

1. 脳血流の増加

散歩などの有酸素運動は、心臓のポンプ作用を強化し、全身の血流を増加させます。特に、脳への血流が増えることで、酸素や栄養素が効率よく脳に供給され、脳血流の増加は認知機能の向上やアンチエイジングにも役立ちます。(1)

2. ニューロンの生成

運動は脳内でのニューロン生成(神経新生)を促進します。特に海馬(記憶形成に関わる領域)での新しいニューロンの生成が増えることが示されています。定期的な有酸素運動は海馬の体積を増加させ、記憶力や学習能力を向上させることが確認されています。海馬の体積増加は物忘れの予防そのものになります。(2)

3. ストレスホルモンの減少

散歩はストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを低下させる効果があります。ストレスの軽減は脳の健康に直結しており、精神的な疲労感や不安感を軽減します。自然環境での散歩は特にリラックス効果が高く、心身のストレスを効果的に緩和します。(3)

4. 脳の構造変化

長期間の運動は脳の構造にも影響を及ぼします。前頭前皮質や海馬の体積が増加し、これらの領域の機能が向上することが示されています。これにより、注意力や計画力、意思決定能力などの認知機能が強化されます。(4)

5. 精神的な健康の向上

散歩はうつ病や不安症の予防や改善にも効果的です。自然環境での散歩は特に効果が高く、気分をリフレッシュさせ、ポジティブな感情を増やすことが研究で示されています。また、日光を浴びることでセロトニンの分泌が促され、気分が向上します。(5)

6. 社会的なつながり

散歩は社会的な活動ともなり得ます。友人や家族と一緒に歩くことで、社会的なつながりが強化されます。社会的なサポートは精神的な健康を保つために重要であり、孤独感の軽減やストレスの緩和に役立ちます。(6)

観測史上最高‥というフレーズが当たり前のような毎日で天気予報を視聴する度にうんざりという方も多いのではないでしょうか。このコラムを書いている只中、7月初旬なのに静岡市が外気温39、3℃、日本最高気温とされています。こんな地獄的な暑さの中にお散歩のコメントをするのはどうなのかとも考えましたが、十分な熱中症対策の上、涼しい時間を選んで「脳に効く散歩」を習慣化する機会としていただければ幸いです。

(1) Colcombe, S.J. & Kramer, A.F. (2003). Fitness effects on the cognitive function of older adults: a meta-analytic study. Psychological Science)

(2) (2)Erickson, K.I. et al. (2011). Exercise training increases size of hippocampus and improves memory. Proceedings of the National Academy of Sciences

(3) (3)Kaplan, S. (1995). The restorative benefits of nature: Toward an integrative framework. Journal of Environmental Psychology

(4) Voss, M.W. et al. (2013). Bridging animal and human models of exercise-induced brain plasticity. Trends in Cognitive Sciences

(5) Bratman, G.N. et al. (2015). Nature experience reduces rumination and subgenual prefrontal cortex activation. Proceedings of the National Academy of Sciences

(6) Holt-Lunstad, J., Smith, T.B., & Layton, J.B. (2010). Social relationships and mortality risk: A meta-analytic review. PLOS Medicine